[チュ・セフンのコラム] 成長を持続する方法、商品ではなく時間を売ろう

[写真・執筆=㈱ビーグルストーンのチュ・セフン代表]


世界的なオンライン動画サービス(OTT)企業であるネットフリックスの競争相手は誰だろうか?

おそらくディズニープラス(Disney+)やHBOマックスを思い浮かべるだろう。しかしCEOのリード・ヘイスティングスはニューヨークタイムズのディールブックカンファレンス(Dealbook Conference)で「ネットフリックスの競争相手は顧客の睡眠時間だ。購読者は必ず観たい映画なら徹夜してでも観る」と話した。これはかつて「ナイキの競争相手は任天堂」という有名な経営革新事例を想起させた。

韓国でも似たような記事によく接するが、配達業者は冷蔵庫と競争し、自動車会社はネイバーとウーバーなどと競争するという。すなわち、マーケットカリーの早朝配送、クーパンのロケット配送や配達サービスなどで、毎日早朝に新鮮な食材が玄関前に届いており、注文してから数分で料理が配達されれば、食べ物を保管する冷蔵庫の需要が減るため競争相手になるのだ。

本の競争相手も他の出版社や作家の本ではなく、動画になってしまった。私たちが通勤する地下鉄で本や新聞を読んでいた時間を、今はユーチューブやネットフリックスに持っていかれたためだ。

最近「私たちの競争相手はOOOだ」がCEOたちの流行語になってしまった。しかし、内容を詳しくみると、共通した内容は「時間」に関するもので、ある程度の所得がある消費者に制限された資産は「時間」だけだ。

今や合理的な消費の基準が価格とともに時間という資産をどれほど支出するかに変わっている。欲しい商品をすぐに推薦して、早く配送してもらったり、待たずに使う市場に変化している。したがって、業界で自分の会社がどの程度の市場を占めるかの「マーケットシェア(marketshare)」ではなく、限られた顧客の時間をどれだけ確保できるかの「タイムシェア(timeshare)」がより重要になったのだ。

ユーチューブのプレミアム商品に加入すれば広告無しで好きな映像を見ることができ、主にウェブトゥーンで使う「ギダム(待つと無料)」があるが、お金を払えばすぐ読むことができる。こうした「ファスト・トラック(Fast track)」戦略の本質もまさに商品ではなく時間だ。 広告を見る時間を消費者に販売したわけだ。

睡眠時間と本を読んでいた時間を動画が代わりにし、市場へ買い物に行っていた消費者の時間を配達業者が減らしてくれる。自律走行車(自動運転車)は顧客にどんな時間をもたらすだろうか? 移動する時間は減らせないが、運転する時間を減らしてくれる。車内で音楽や動画などのコンテンツを5Gで消費し、ショッピングもして時間を車内に持ち込み、自動車は「エンジン付きデバイス」になるのだ。昨年、海外でのオーディオブックの市場規模が35億ドルで、前年比25%以上急成長している理由の一つが、移動や運転中でも読書ができるためだという。

最近、パンデミックの影響で消費者の移動や活動時間が制約を受けている。したがって、多くの企業はその時間をどのように確保するかを悩まなければならない。

キュレーション・予測配送・購読経済・早朝配送・自動運転車・シェアリングサービスなどが一見利便性に焦点を当てたようだが、消費者にとっては商品を選んで注文したり待つ一連の消費過程で使う時間に対する戦略だ。ビジネスで革新しようとするなら、自社の製品やサービスが顧客にとってどのような時間を取るべきかをまず考えなければならない.

人工知能、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータに代表される第4次産業革命時代には以前のように同種業界の会社がライバルではない。成長を持続させる簡単な方法は競争者を変えることだ。
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