[チュ・ジェウのコラム] 創意的南北経済協力戦略と中国の教訓

[写真・執筆=チュ・ジェウ慶煕(キョンヒ)大学国際政治教授]


今年に入って北朝鮮の相次ぐ首脳外交で韓半島に平和の薫風が吹いた。この追い風によって南北経済協力の再開に対する期待がともに上昇し、韓国政府の対北朝鮮制裁の緩和を訴える努力も加わった。しかし、まだ進展はない。だからといって、いつまで待っていてはいけない。待っている間に、それなりの南北経済協力の再開に向けた徹底した準備をしなければならない。

韓国は南北経済協力が再開されたら北朝鮮に進出すればいいと勘違いしている。「わが民族同士」でうまくやりこなせるという甘い思考があるからだ。「わが民族」だから無理な要求はないだろうし、たとえ間違いがあっても互いに理解できるという認識が蔓延している状態だ。しかし、ジャングルのように秩序と制度を整えられなかった北朝鮮市場に、このような甘い考えで接近すると百戦百敗は自明だ。

経済的な結果は容易に予測できる。南北経済協力の費用だけがさらに増えるだろう。「骨折り損のくたびれもうけ」でなければ、「一方的な投資」の経済協力になるからだ。そして、「わが民族」という名分で正当化されるだろう。我々の血税を少しでも節約したいなら、北朝鮮の経済発展計画と関連して、より徹底した分析と研究が事前に行われなければならない。

しかし残念なことに、いまだに国内ではこのような努力の姿を見ることができない。北朝鮮が宣言した経済特区や開発地域の性格、特徴に関する研究物を探すのが難しいのが、このような事実の傍証だ。現在、北朝鮮には27の経済特区が設定されている状況だ。このうち、金正恩(キム・ジョンウン)時代以前に指定された特区が5つだ。金正恩国務委員長が政権を握った後、国家級の特区が5つ、地方政府級の特区が17ヵ所指定されたという。

しかし、国内ではこれら特区の指定背景や発展方向と計画などがあまり知られていない。北朝鮮がこれらの地域をどのように特性化するのか、我々は知らないという意味だ。いや、知りたくもないようだ。北朝鮮が市場開放や南北経済協力を再開すれば、「韓国が進出する」という使命感だけがあるようにみえる。だから、これまでも韓国政府の対北朝鮮経済協力事業計画は、社会間接資本(SOC)構築だけに集中する様子を見せている。

国家開発事業におけるSOCの構築ももちろん重要だ。特区と特区を結びつけたり、特区で生産された製品の輸出路をつなぐ道路、港湾、鉄道の流通と物流網の構築は重要だ。だからといって必ずしもこれが優先される必要はない。誰かは現在の北朝鮮制裁の状況で最善の選択だと反論するかもしれない。しかし、筆者はだからこそ北朝鮮の経済特区発展計画と特徴に対するより徹底した分析で、韓国企業進出をより効果的・経済的に支援できる土台を作るべきだと主張する。

実質的にこれを行動に移している国がまさに中国だ。さらに、中国は北朝鮮の経済特区を特性化するにも努力を惜しまない。北朝鮮との事前協議を通じて、特区の地理的特徴を考慮した特性化を推進中だ。一例として、両国は黄金坪(ファングムピョン)と威化島(ウィファド)開発事業のための協議体を構成し、同地域を特性化する議論を進めてきた。中朝両国は協議を通じて「黄金坪・威化度運営委員会」を造成し、黄金坪を情報技術(IT)産業基盤の知識密集型新興経済区域に、威化島は観光・文化と現代化農業および軽工業育成の開発区に指定した。

経済特区の「性格」を決定してから産業発展のためのインフラ構築問題を議論した。具体的に中国は、自国の開発銀行を通じて30億人民元(当時約5億ドル)を投資することにし、自国企業の投資誘致に乗り出した。この過程で30億ドルの対北朝鮮投資ファンドの造成も決定した。

北朝鮮との経済協力事業は、投資収益を直ちに回収することが非常に難しいため、失敗する可能性が非常に高い。中国の研究報告書によると、初期投資の80%以上の損失を考慮しなければならない。そのため、北朝鮮が指定した特区に無計画に進出するというやり方は避けるべきである。これらの特区の地理・環境的特徴を綿密に調べて、妥当であると判断される産業を主導的に発展させなければならない。

北朝鮮と数回にわたる高官級事前協議を通じて実質的な進出計画を立てた中国も、まだ経済特区に進出できていない。北朝鮮の核制裁や北朝鮮内部の政治的決定などがその理由であり、中国の北朝鮮経済協力事業は個別企業のレベルに限定されている状態だ。国家レベルの北朝鮮経済特区の開発事業は、対北朝鮮制裁が解除された後に可能になる見通しだ。

これまで韓国は北朝鮮の経済特区に対する深層的な分析などについて、何の準備もなく対北朝鮮制裁の解除だけを待っていた。このように手をこまねいて待っているだけでは、北朝鮮制裁の解除によって南北経済協力の機会が我々に与えられたとしても期待に応じる結果は得られないだろう。何も準備されてない状態で性急な判断は禁物だ。

初期投資の失敗を繰り返し、国民の税負担だけが増加すると、「統一費用」に対する反感だけを増幅させる副作用を生む可能性がある。韓国は対北朝鮮投資と南北経済協力が韓半島の統一費用を事前に削減するための前哨作業にならなければならないという事実を忘れてはならない。

強調した通り、事前に北朝鮮の経済特区指定の背景と目的を明確に把握しなければならない。これを基に国家開発事業の成功経験がある我々が、それぞれの特区に適した産業が発展できるよう、特区開発の牽引車の役割を果たさなければならない。より創意的な事業アイデアを基盤にした新たなアプローチ戦略も欠かせない。北朝鮮の経済発展と韓半島統一費用の節減という二兎を得るために知恵を集めなければならない時だ。
 
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