「第一も人工知能、第二も人工知能、第三も人工知能です。」
孫正義会長が今後、韓国が集中すべき課題として人工知能(AI)を提示した。AI人材を確保するための教育の分野と、これを支える政策に集中的に予算を投入しなければならないと述べた。去る4日、青瓦台(大統領府)で文大統領と会談した孫会長は、「一歩一歩追いつく戦略よりは一気に追いつく果敢なアプローチ が必要だ」とし、「韓国がAIで一等国になる最も早い道は世界1位の企業に投資することだ」と助言した。
ソフトバンクはAI技術を直接開発する会社ではないが、AI投資に特化したベンチャーキャピタル「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」を通じてAI関連ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上のスタートアップ)80カ所に投資した。孫会長はSVF 第1弾で装填した100兆ウォン規模の現金が用意される次第、SVF第 2弾をスタートさせるという計画も明らかにした。
ソフトバンクはAIの企業演奏者にして「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽」のようなAI版オーケストラを作って指揮者として乗り出すという戦略を立てた。孫会長は「オーケストラの指揮者は楽器を演奏しないが、最も高い席に立って音色を完全に掌握する」とし、「私もAI革命の指揮者になりたい」と述べた。アップルを創業したスティーブ・ジョブズも自らプログラミングに手をつけたわけではないが、エンジニアとデザイナーを指揮してアイフォンを作り出したという事例を挙げた。
孫会長は「ソフトバンクが指揮者、AI企業は演奏者、顧客がスポンサーとなる生態系を作る」とし、「200年前に創設されたウィーン・フィルハーモニー管弦楽が今も生き残ったのは、指揮者、演奏者が変わっても持続することができる生態系を構築したためだが、私たちも300年は持ちこたえることができるAI生態系を作りたい」と述べた。
孫会長が文大統領を訪れ「AIオールイン」を提案したのも、ソフトバンクを中心に構想しているAIオーケストラの一員になってほしいという要請であると解釈される。韓国政府が国内でAI一等企業を育ててくれれば、SVFが投資してAIオーケストラの演奏者として迎え入れという意味だ。
孫会長がソウル城北洞(ソンブクドン)にある家具博物館で会った企業らは、AI研究開発を積極的に推進しているという共通点がある。サムスン電子とLG電子、現代自動車はもちろん、ネイバーとNCソフトはAI技術の開発への投資を惜しまない代表的な企業だ。ネイバーは、日本の子会社のラインとともに1000人にのぼるAI技術者を保有してアジアトップクラスに上がっており、NCソフトも国内のゲームメーカーのAI開発者を最も多く保有している。
孫会長はAIの理解度が最も高いと判断された企業のオーナーたちに会って、近いうちに発足させる100兆ウォン規模のSVF第2弾に投資してほしいという意思を伝えた可能性が高い。今現在、孫会長の最大の関心事は、SVF第 2弾の成功発足に合わせられているためだ。
孫会長の革新手法は、すでに広く知られている。30年先を見据えたビジョンを立て、外国の人材を迎え入れて革新の意志を対内外に刻印させる方法だ。孫会長の秘書室長を務めた嶋聡氏は、「これが明治維新以来に確立された黄金のルール」と述べた。文大統領が、孫会長が提示した「AIオールイン」を政策に反映させるためにどんな革新手法を駆使するか、関連業界が注目している。
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