[キム・グァンソクのコラム] デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)

[写真・執筆=キム·グァンソク漢陽(ハンヤン)大学国際学大学院兼任教授]


最近、70年の歴史を誇る米玩具販売大手の「トイザらス(Toysrus)」が経営破綻した。オフラインの売場での販売に重点を置いたトイザらスは、消費者がオフラインの売場ではなくオンラインを通じたショッピングへと移動し、バランスを崩した。子供らのおもちゃがスマートフォンやタブレットPCなどへと移り、トイザらスの立地がさらに狭くなったのだ。

日本の大手フィルムメーカーのコダック(Kodak)は、歴史の中に消えた代表的な企業の一つだ。フィルムカメラからデジタルカメラへと市場が移っている間、デジタルカメラ技術を開発しておきながら事業を転換せずに没落してしまった。

幼稚園で使われる教材は「印刷された本」ではなく、デジタル教材だ。教育部は、2019年から小学校にデジタル教科書で学習できる環境を提供するために準備している。最初からデジタル世界で生まれた世代をデジタル世界の原住民といって「デジタルネイティブ(Digital Natives)」と呼ぶ。

そして、アナログの世界に生まれたが、デジタル時代に変わった世の中に適応してきた世代がいる。アナログの世界からデジタルの世界に移住してきた世代は「デジタル移民(Digital Immigrants)」と呼ぶ。地図本ではなく、スマートフォンのマップアプリケーションを利用し、時計アラームではなく、スマートフォンのアラームを利用する。不動産情報を得るために公認仲介事務所に聞いてみるのではなく、オンライン不動産フラットフォームを利用する。

消費者がデジタルネイティブかデジタル移民者である。消費者が変化したから企業も変化しなければならない。アナログ式のサービスや製品の供給ではなく、デジタル基盤のサービスを拡大しなければならない。対面サービス方式から非対面サービス方式に切り替えなければならない。オフラインチャンネルからオンラインチャンネルへ製品供給方式を転換しなければならない。これらの企業の動きを「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」という。

IT専門調査会社IDC (2015)、A.T.Kearney(2016)などによると、デジタルトランスフォーメーションは「産業内に企業が最新のデジタル技術を実際に活用して、プロセスが変化する段階からそれを通じてビジネスモデルの変化をもたらす効果まで」としている。また、デジタルトランスフォーメーションはすでに各産業分野において進められており、デジタル技術を活用して既存事業のプロセスはもちろん、既存産業のバリューチェーン(Value Chain)変化を引き出している。

デジタルトランスフォーメーションは、ビッグデータ·ロボット·ブロックチェーン·クラウド·人工知能(AI)·モノのインターネット(IoT)·バーチャルリアリティ(VR)·拡張現実(AR)など、第4次産業革命の基盤技術を活用し、企業の戦略とビジネスモデルを転換して競争力を高める方向に動かす。農畜産業ではスマートファームを、製造業ではスマートファクトリーを、流通業ではキオスクを導入するのが代表的な例だ。「デジタル経済(Digital Economy)」に変貌している時点で主導権を握り、これを先導しようとする企業の動きが多様化している。

デジタルトランスフォーメーションが最も目立っている産業の一つが金融産業だ。最近、金融産業は営業店舗を縮小しつつある。国内銀行の営業店舗は、2015年の7158店舗から徐々に減少して201年の第1四半期基準で6784店舗を記録している。国内銀行だけでなく、生命保険や損害保険の店舗も引き続き減少しており、証券会社の国内支店の数も2016年以降から減っている。

デジタル金融サービスへの依存度が増え、消費者たちの店舗訪問を通じた対面サービスの需要が減っている。このような流れとあいまって、金融企業各社は営業支店や従業員数も減らしている。いわゆる金融産業の「資産軽量化」のトレンドが加速化している。

金融産業が支店や営業店舗を減らすといって、金融サービスの規模が縮小されることではない。金融サービスの種類がさらに多様化し、規模も拡大している。2018年の第2四半期の金融および保険業の総生産額は25兆1810億ウォンであり、2015年の第2四半期22億1470億ウォンから増え続けている。すなわち、営業店舗や支店が減る過程で対面金融サービスは縮小されているが、デジタル基盤の非対面金融サービスは急増しているという結論が導き出される。

金融消費者の業務処理現況を見ると、入出金取引時に直接取引する割合が2005年の26.3%から2018年の第2四半期には8.8%に縮小された。テレフォンバンキングやCD/ATMに対する依存度もさらに減っている。反面、インターネットバンキングに対する依存度は同期間18.6%から49.4%へと急速に拡大されている。

デジタル経済は未来を主導するだろう。韓国が逃してはならない。デジタルソフトウェア及びソリューション産業の成長のために解決すべき課題がある。

まず、政府·地方自治体·金融会社·情報技術(IT)企業が協力できるプラットフォームが必要だ。 基本的にデジタル経済は様々な技術の融合に基づいているので、情報交換や共同技術開発及びサービス連携が必要である。産業間の利害関係が相反して産業の発展が遅延するのではなく、協業を通じたシナジー(相乗効果)が創出されなければならない。

スタートアップを奨励し、支援するシステムも整えなければならない。デジタルソフトウェア及びソリューション産業は、相当な初期投資資金と高級人材が必要な分野だ。しかし、最近高まりつつある不確実性のため、起業を恐れる雰囲気が作られている。スタートアップを奨励するための積極的なインセンティブが要求される。国内企業の各社が世界デジタルトランスフォーメーションを先導する企業として浮上できる環境を整える必要がある。

 
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