[チョ・ピョンギュのコラム] 米中貿易戦争を観戦しながら

  • 米中の間に挟まれた韓国・・・貿易戦争の隙間をうまく活用しなければ

[写真・執筆=チョ・ピョンギュ中国燕達グループ首席副会長]


米中貿易戦争は今年3月22日、ドナルド・トランプ米大統領が500億ドルに上る中国産輸入品に関税を課す行政覚書に署名したことから始まった。8月末に開かれた次官級の米中通商協議で妥協できず、長期戦に突入したものと評価されている。

過去5ヵ月間、NYダウ指数は4%台の上昇を見せた反面、中国上海総合指数は16%台の急落を記録して、人民元の価値も8%台の下落した。目に見える指標では、米中貿易戦争で米国が中国を圧倒しているように見える。

米中貿易戦争の本質的な原因は、世界覇権国の米国が自国に挑戦する中国を牽制しようとすることにある。トランプ大統領が「中国製造2025」を通じて、製造大国として浮上しようとする中国を牽制し、中国の金融市場を開放することにして貿易で失ったお金を挽回して、中国の崛起を押さえつけて全面的な覇権優位を確保するための戦略と言っても過言ではない。

韓国のマスコミは米中貿易戦争で米国が勝利すると予測している。果たしてそうだろうか? 筆者はそうは思わない。

中国の報復の対象品目はトランプ大統領の核心的な支持基盤である米国北西部地域で生産される自動車と農産物だ。西側諸国が選挙を通じて政権を握る政治システムは、中国共産党のシステムとは比較できないほど脆弱だ。

習近平主席はすでに4年間の任期を残した状態であり、トランプ大統領は今年11月の中間選挙と、2年後の選挙を控えている。果たして誰が有利な条件にあるのだろうか?

幸いにもトランプ大統領と習近平主席は、二人ともケンカの達人だ。短期的には両方とも「死」を選ぶことはないとみられる。ケンカを仕掛けたトランプ大統領の選択肢は高率関税の賦課しか他にない。トランプ大統領に必要なのは実利であり、習近平主席に必要なのは実利より政治的にメンツを立てることだ。今回の戦争は米国の中間選挙前に縫合されると見込まれる理由だ。

今回の貿易戦争を通じて中国は、米国依存的な単純製造業だけでは米国に勝てないという事実を知った。 端技術の確保こそ、国家安保経営の最も重要な戦略である事実も痛感した。貿易戦争以来、習近平主席は製造業の高度化を期す一方、メモリー半導体・共有経済・第4次産業を支援して、新成長産業特例上場制度を導入するなど、先端産業の充実に全力を尽くしている。

この際に、米国はもとより、我々も中国は市場経済が細密に作動する国ではないことを肝に銘じる必要がある。中国は市場経済ではなく、計画経済の性格が強い国だ。政府がその気さえあれば、いくらでも強力な影響力で市場に介入することができる。金融機関や国営企業の動員は、習主席の決心次第だ。

米中貿易戦争が韓国の対米貿易や対中貿易に及ぼす影響はないだろうか?一部の専門家たちは輸出減速の懸念を提起したが、今年9月現在まで輸出は増加傾向が続くものからみて、影響は大きくないと評価している。もちろん、米中貿易戦争が長期化した場合、我々にもある程度否定的影響が及ぶことは明らかであるが、むしろ韓国の貿易はドル・ウォン相場の騰落にもっと大きな影響を受けるものと見られる。

全ての事には明と暗が存在する。米中経済は韓国と密接に連携されており、企業にとって戦争は、もう一つのビジネスチャンスでもある。韓国企業は彼らの戦いを見てばかりいるのではなく、事業の機会として戦略的に接近しなければならない。中国が産業を高度化する過程で、我々の技術・装備を輸出したり、中国の優良企業に金融投資するとともに、中国が報復関税で競争力を失った品目に貿易量を増やすこともできる。

米中貿易戦争は今後、中国が米国の覇権に挑戦すればするほど激しくなって持続的につながる可能性が非常に高い。大国間の勢力争いが起こっている今、我々には隙間をうまく活用する知恵が切実だ。
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