[パク・スンチャンのコラム] 米朝首脳会談以後、中国の対応シナリオは?

[写真・執筆=パク・スンチャン中国経営研究所所長兼龍仁大学中国学科教授]


新しい韓半島(朝鮮半島)の平和プロセスに対する期待と懸念から始まった世紀の談判の日、世界中は注目した。大きな枠組みで合意し、非核化と体制保障に対する意見は調整されたが、細部的な方法は決して容易ではなさそうだ。米朝間の政治、経済的な思わくが互いに異なり、中国など周辺国の問題が山積しているからだ。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の綱渡り外交安保戦略が今は的中しているようだ。彼はトランプ大統領が何を望んでいるか、習近平主席が何を望んでいるかをよく知っているとみえる。

彼らの要求を適当に取り、北朝鮮の利益と安保を極大化している。米国からは体制の保障を、中国からは経済的保障と支援を得る戦略的外交戦術がドラマチックに進行されているようだ。このような本音をよく知っている中国だが、他の代案がないように見える。

北朝鮮が米国と距離を置く緩衝剤(buffer zone)の役割をしているため、これを決して放棄できないからだ。米朝首脳会談を控えて中国の足取りが重いが、加速化するしかない。中国は金正恩委員長のシンガポール直航を提供するため、中国高官級専用機まで支援し、存在感を高めようと努力している。

中国はすでに米朝首脳会談後に起きる緊迫した韓半島状況に合わせて、多様なシナリオを準備しているようだ。中国の対応シナリオは大きく政治・外交的なシナリオと、経済的なシナリオに区分して理解することができる。

第一に、政治・外交的シナリオは、南・北・米・中の4者間の韓半島平和体制構築に向けた全方位的な攻勢を進めるだろう。合意文に含まれた従来の問題についても、中国は韓半島問題の結者解之(結んだものが自らそれをとくべきである)原則をあげ、南・北・米3カ国間の終戦宣言の可能性を正面から反駁するはず。

韓国戦争(朝鮮戦争)の休戦協定は1950年6月25日に発生した韓国戦争の終結に向けて1953年7月27日に締結された協定だが、当時、米国中心の国連軍と中国、そして北朝鮮3者間が署名したもので、当然、中国が抜けた終戦交渉は無意味だという論理で対応するだろう。韓国戦争により20万人を超える中国共産軍の死者や行方不明者がいて、約40万人が負傷したため、韓半島(朝鮮半島)問題の解決において中国は、被害当事者として中国を除いた従来の協議は無効だと主張するはずだ。

それに、ロシアも旧ソ連が韓国戦争に参加したため、中国を助けて声を出すのは明らかだ。最近、米朝首脳会談を控えてロシアのプーチン大統領が中国北京を訪問し、習近平主席と会った席でもこのような議論があったのではないかという推測も提起される。

結論的に、韓半島に中国が一定の持分を持っていると主張しながら、中国が参加する南・北・米・中4カ国間の段階別韓半島和平体制論議を向けた協議体の構成を強く要求する可能性が高い。中国は韓半島平和体制の構築という名分のため、今回の米朝首脳会談を歓迎しているが、北朝鮮が米国の影響圏内に入ることを決して望まない。したがって、もし会談の結果が、中国が除外された彼らだけのストーリーで進行される場合、中国とロシアはさらに強力な口調で不満を吐露し、中国の役割論の正当性と妥当性を提起する公算が大きい。

第二に、経済的なシナリオはどうだろう? トランプ米大統領は金正恩委員長の親書を受け取り、記者団と会った席で対北朝鮮の経済援助と関連し、米国は財政負担に参加しないと線を引いたことがある。トランプ大統領は対北朝鮮支援は隣国の韓国、中国、日本がするようになるだろうと言及したように、徹底的に政治的名分と経済的実益を得ようとするのだ。

結局、米国は韓半島平和の解決者であるように恩着せがましい態度をとって、経済的利益の極大化に向けた民間企業の対北朝鮮投資奨励を除いた米政府レベルの直接的な経済支援は韓国、中国、日本にボールを投げるものとみられる。

反面、中国は直接的な経済支援のためのシナリオを多様に検討するはずだ。世間で取り沙汰された中国の鄧小平式モデル vs ベトナムのドイモイ(doimoi)式モデルではなく、北朝鮮式改革・開放モデルで進められる可能性が高い。実はこの二つのモデルの方向性は大同小異だ。共産主義の基本骨格を維持しつつ、経済的には市場を開放して海外資本を誘致し、経済成長を達成するということだ。

中国は北朝鮮式改革・開放モデルを作れるように資金と技術、人的資源などを支援するだろう。実際、北朝鮮式モデルと言っても、その中心と成長方式は中国がこれまで40年間やってきた改革・開放の経済開発特区モデルが根幹になるしかない。

北朝鮮は羅先経済特区と黄金坪(ファングムピョン)工業団地など、従来の5つの経済特区の他にも金委員長が新たに指定した経済開発特区が20ヵ所もある。中国は北朝鮮に北朝鮮式の黒猫白猫(黒い猫でも白い猫でもネズミを捕るのが良い猫だ)成長モデルを提示し、そのような成長を助けるため、様々な形の経済的支援をするものと見られる。これはすでに2回にわたって行われた中朝首脳会談で、ある程度の共感があったものと推定される。

特に、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が発注し、中国国営企業が北朝鮮のインフラ建設に参加する形で行われる可能性が高い。中国の立場としては、北朝鮮の経済成長を助けるという名分もあり、セメント・鉄鋼・非鉄金属などの供給過剰による自国の国有企業問題を解決できる一挙両得の方法だからだ。

問題は韓国だ。結局、米国の主導で南・北・米構図の韓半島平和プロセスが継続すればするほど、中国の韓国に対する間接的な不満が積もっていき、これはサード報復以後、第2の中国版報復に拡大される可能性も排除できない。韓半島平和プロセスに中国が参加できる空間を確保するための努力が部分的に行なわれなければならない。また、韓半島が今後、北東アジア経済の価値連鎖(バリューチェーン)の中心として成長するためには、北朝鮮問題をテコに活用する知恵と慧眼が必要である。
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