[キム・ボンヒョンのコラム] 真珠の首飾りとダイアのネックレス

[写真・筆者=キム・ボンヒョン招聘論説委員・元駐オーストラリア大韓民国大使館大使]









国際政治学者ケネス・ウォルツは、国家間の戦争はジャングルのような無政府状態の国際政治の現実のせいで発生すると分析し、国家はジャングルの中で生き残るために勢力均衡と同盟のような生存戦略を発展させてきたという。この構造的現実主義理論は20世紀の国際政治現実をよく説明したもので、その妥当性が認定され、多くの学者たちがこれを引用してきた。

しかし、21世紀の国際政治がケネス・ウォルツの同盟の理論通りに進められるかどうかはまだ分からない。中国の急激な浮上で、世界は米国と中国に分かれて再び冷戦的勢力均衡に再編されるか、そうではなければ米国と中国が協力しながら平和と協力の新たな時代に進むだろうか、みんな希望と恐怖の中で見守っている。

中国の習近平主席は今年10月18日に開催された第19回共産党全国代表大会を通じて、今後中国は周辺国、そして、世界各国と相互尊重と公平・正義、協力・共生に基づいた新型国際関係を構築し、人類共同体として共に平和を実現していくと強調した。また、全ての国は強権政治を捨てて、対抗ではなく対話、同盟ではなく同伴者として新たな交流の道を歩かなければならないとした。

習近平主席が一見国家間の同盟よりは平和と協力に向けた新たな国際関係の建設を強調したが、中国の利益に反するいかなる挑発にも退かないことを明確にすることで、場合によっては武力による解決も覚悟ができているという意志を明らかにした。

中国の利益に反する挑発が何を意味するのか明確ではないが、それが南シナ海、そして尖閣諸島に関するものならば、中国がアジア太平洋地域で米国や日本と和解と協力に進む可能性はそんなに大きくないようだ。

日本は中国の浮上が台頭し、これを現実に受け入れて中国を牽制するための努力を傾けてきた。その努力は、安倍首相時代に来てさらに本格化されているが、安倍首相は日米同盟の強化は言うまでもなく、「インド・太平洋協力戦略」という新しい形式の同盟と勢力均衡を構想してきた。

これに合わせて、米国政府は先月16日、ドナルド・トランプ大統領のアジア歴訪計画を発表し、"トランプ大統領は自由で開放されたインド・太平洋地域に対する米国のビジョンを提示する"とした。これにより今月11月6日、日本を訪問したトランプ大統領は、安倍首相との首脳会談で「自由かつ開かれたインド・太平洋戦略」を共同外交戦略に表明し、これを実践するための協力を強化することにした。

また、11月7日韓国で開催された韓米首脳会談の共同マスコミ発表文1項には「トランプ大統領は・・・(中略)・・・韓米同盟がインド・太平洋地域の安保、安定と繁栄に向けた核心軸であるということを強調した」という内容が含まれた。

中国は、習近平主席の登場以来、カンボジア、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンを連結する海上進出ルートを構築し、それを踏まえたアジア太平洋地域や中東、欧州地域に進出するための海上シルクロードの戦略を推進している。これは真珠のネックレスの形と同じだとして「真珠の首飾り」と呼ばれている。

安倍首相とトランプ大統領が言及した「自由かつ開かれたインド・太平洋戦略」は既存の「アジア・太平洋」地域概念を越えてインド洋と中東、アフリカまで含む協力の時代を開こうとするのが表面的概念だが、中国はその中で中国が推進している真珠の首飾りを封鎖しようとする意図が盛り込まれているのではないかという疑いの目を向けている。

実際、日本は「インド・太平洋戦略」概念が新たに提示される前から日米同盟を根幹とオーストラリアとインドを引き入れて、いわゆる「ダイヤモンド」協力体(4カ国を地図で連結すると、ダイヤモンド状になる)を構成しようと努力してきた。

筆者が駐オーストラリア大使在任時代にオーストラリア政府関係者とダイヤモンド協力体について意見を交換したものがあるが、オーストラリア、インドのいずれも、対中国の封じ込め策に加担する印象を与えることに対して負担を感じていた。これによって筆者はオーストラリア側に日本と米国が主導するダイヤのネックレス戦略よりも韓国、オーストラリア、インド、インドネシア4カ国が主導する「アジア・太平洋地域中堅国家フォーラム」が、むしろ現実的に成功する可能性があると提案したことがある。

日本もやはり、ダイヤのネックレス戦略が中国を狙ったものと見られることに負担を感じており、ダイヤモンドを「インド・太平洋戦略」で包装しようとするものである。しかし、中国がこれを知らないはずがない。中国がこれを知っている以上「インド・太平洋戦略」は成功しにくい。

韓国をはじめオーストラリア、インド、インドネシアみな過去史問題から自由で、世界20位圏内に入る経済規模を持っており、自由民主主義市場経済と普遍的価値を共有する共通点を持っている。

さらに、韓国、オーストラリア、インドネシアはMIKTA(メキシコ、インドネシア、韓国、トルコ、オーストラリア)の加盟国であり、韓国と豪州は2+2を通じて外交安保問題を協議していくアジア・太平洋地域で主要なパートナーだ。また、韓・インド間の関係はもちろん、オーストラリア、インド、そして、インドネシアとインドの関係も非常に緊密だ。

この4カ国が連合してアジア・太平洋地域の平和と安定に向けた共同の努力をすることができるであれば、21世紀にはケネス・ウォルツの生存に向けた対決的な同盟ではなく、協力と共同発展に向けた協力体として新たに進化・発展することになるだろう。また、我々が「真珠の首飾り」と「ダイヤのネックレス」の間に挟まれてどこへ行くか悩むのではなく、我々自ら独創的なブランドを持つ戦略を作って行けるだろう。韓米同盟は北朝鮮抑制のためのものであり、中国封鎖のためのものではない。
 
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