[キム・ジンホのコラム] 大統領選挙の政治・・・国内と国際は異なる

[写真・執筆=檀国(タングク)大学のキム・ジンホ教授(韓中国交正常化30周年記念事業準備委員会事務総長)]

韓国の大統領選挙には、いまだに進歩と保守の陣営対立や人物と政党の地域「一体感」が大きな影響を及ぼす。特に今回の大統領選挙で、国家政策とビジョンに対する評価は相対的に低い影響を及ぼしている状況だ。

これは韓国の多くの選挙で公約履行の程度がその候補者や政党の次の選挙に絶対的な影響を及ぼさなかったためであり、選挙を何度も経験した国民の「選挙の疲労感」のためだろう。

そういう意味で、候補者の公約も国家発展ビジョンに焦点を置きながらも、地域感情に焦点を合わせた投票に集中しており、再び地域間対立をあおっている。

政府の政策は、国家マスタープランとともにバランスの取れた地域発展と有機的協力がなされなければならない。今回の大統領選の過程で現れる政党や地域の「一体感」は、大統領選終了後に再び新たな「国民分裂」をもたらす恐れがあることを警戒しなければならない。

今回の大統領選挙で「政権審判」に基づく「政権交代」という言葉が維持されるのは、これまでとは違う変化した政府を作ってほしいという国民の声である。これは政党交代の要求でもあり、変化した指導者と政府に対する念願でもある。このような民心は、現在の候補者の選挙広報戦略を見ても分かるが、とにかく前政権とは違う形で国民に歩み寄れうような政府を期待している。

ネガティブ・キャンペーンで、お互いの欠点だけを狙うだけではなく、国民が望むことを考えてほしいというわけだ。

政策よりも人物と人柄、そして彼の行政に基づいたリーダーシップが選挙の主要イシューになってしまった。このような心理は、最近引き続き国際社会で興行された韓国の映画が代弁するように、韓国と多くの社会が解決しなければならない問題点を表わしているようだ。

朝鮮王朝で日帝強占と韓国戦争を経て選挙に基づいた民主国家を作った大韓民国の民主主義の発展は、アジアだけでなく世界でも誇らしいことだ。しかし韓国社会の伝統的特徴は、いまだに「身言書判+家族管理」という指導者の徳目が重要視されている。

「人柄」を強調し「修身と斉家治国」を強調した韓国社会は、指導者の人となりと家庭の正しい倫理に基づいた指導者を重視する。そういう意味で韓国社会は茶山丁若鏞思想を絶えず崇め、彼と関連した地域が観光名所になったのではないかと思う。

指導者(候補者)家族のイメージは、大統領選挙で少なからぬ影響を及ぼす。すなわち、韓国では指導者のリーダーシップは、大統領選候補を含む家族問題が重要なイシューになり、これに対する評価は候補者の政策評価以上に重要な比重として作用する。これは今後、誰が韓国の指導者になっても、指導者の夫人を含む家族は国民の悩みを考え、誇らしい模範にならなければならないという国民の要求だ。

現在の韓国の大統領選挙を国際政治からみると、対北朝鮮問題と「韓国と国際社会」という政府の対北朝鮮および対外政策は、徐々にその影響力が減少している。文在寅(ムン・ジェイン)政府の「対北朝鮮政策」は「国民統合」という国内の政治問題に埋もれてしまった。

政府の「功過」からみれば、文在寅政府がうまくやったこともあるだろうが、偏重した対北朝鮮政策と国民の敵味方分けが現在の大統領選挙局面が出る原因であるだろう。そのため、「文在寅政府の支持率」が維持され、同時に「政権交代論」が取りざたされていると思われる。

しかし、指導者のリーダーシップの部分で、文在寅大統領の個人的な魅力は未だにその影響を発揮している。文在寅大統領を支持する多くの支持者が誰を選択するかによって、各候補者は自分の支持率に影響されるわけだ。

それにもかかわらず、さらに跳躍する大韓民国になるために、現政権では国民統合をテーマにした「包容」の政治を具現すべきだ。かつて「同行」と「包容」を語っていた大統領の姿を見ると、その「包容」と「同行」の程度によって国家発展が大きく変わったことが分かる。

国際政治的観点で今回の大統領選挙は、まず北朝鮮そして北東アジア域内国家と韓国の国家アイデンティティと関連した国際関係にも重要な意味を持つ。韓国の安保と連携した対北朝鮮政策と対外関係という側面から、外部から見る韓国の大統領選挙は、自国の利益に基づいて判断するしかない。

過去の韓国の大統領選挙において対北朝鮮および対外政策が「北風」と「安保」という意味で大きく浮上したが、現在韓国の大統領選挙は韓国の政治、経済、社会に基づいた国内政治に焦点を合わせた対外政策に焦点が当てられている。それだけ韓国の国力が成長したわけだ。新政府は、成長した国家と国民に合った外交と安保の裏づけがなければならないだろう。

韓国の対外関係で最も重要なのは韓米同盟だ。いろんな側面から韓国の全般的な国家アイデンティティは、米国の民主主義の価値観と共通点が多い。韓国はそれを考慮しながら先進国入りを完全に実現できる機会を自ら設けていかなければならない。同時に韓国政府は、海外マスコミに映る韓米同盟を平等な立場で対外交渉力を高めなければならない。

現在、経済発展に基づいて域内強大国を目指す中国は、域内で米国の世界的地位と同じ目標を持っているようだ。

特に今回の冬季五輪と年末の第20回党大会を準備する中国は、国内政治に焦点を置き、中華民族主義の灯火を掲げている。開幕式の「韓服」論争と五輪不公正競技は結局、韓国人の感情に合わないもので、「反中感情」をさらに悪化させる可能性があるということを中国は認識すべきだろう。

経済的側面で韓中関係が重要であるとはいえ、域内平和のための韓国の対中外交には、韓国の地政学的長所と国際関係を通じた賢明な対処が必要だ。韓国の祖先が中国と交流してきた安保と文化、経済交流を参考にするに値する。

日本との歴史的な問題で現在の日本は韓国に新たな「愛憎」の関係を形成している。しかし、長期的な域内安定と国家発展のために、韓国は日本に言うべきことを言いながら、韓国の外交的地位を強化する戦略を展開しなければならない。また、近いうちに東南アジア諸国を含む域内国家と欧州と大洋州、そして北南米とアフリカなどでも韓国の強い外交を展開し、若者に夢と機会を与える政府が誕生してほしい。

国内政治は、域内国家を含む韓国と関係のある国家の期待どおりにはいかない。これは、韓国の民主主義が戦争の被害の中でも経済発展を遂げ、犠牲と選挙を通じて発展させてきたためだ。われわれは大韓民国の国民として祖国の民主主義と経済的成果を認識し、家庭や社会、学校で培われた人格と実力のある人材が多いということを忘れてはいけない。彼らに希望とチャンスを与えなければならない。
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