[パク・ジョンチョルのコラム] 制裁の締め付けにも耐える北朝鮮・・・食っていける秘訣は?

[写真=亜洲経済(統一研究院のパク・ジョンチョル碩座研究委員)]


トランプ大統領は北朝鮮の体制崩壊の戦略と軍事的オプションを差し置く代わりに、経済制裁カードを通じて北朝鮮を交渉のテーブルにつかせた。米国は対話を強調しながらも、制裁の手綱を維持するという立場を固守している。去る2月、ハノイ首脳会談で金正恩委員長は制裁解除を強く要求することで、制裁による苦痛が大きいということを間接的に認めた。北朝鮮は制裁に耐える耐久力を強化する一方、対米交渉で制裁撤回を得ようとする両面戦略を駆使している。

今年の年末になると、対北朝鮮制裁が強化されてから2年になる。果たして制裁は北朝鮮の経済にどのような影響を及ぼすか?北朝鮮は結局、制裁に耐えられず核を放棄するだろうか?北朝鮮が制裁を耐えられうなら、その秘訣は何だろうか?北朝鮮はいつまで耐えられるだろうか?もし、制裁が効果がないなら、非核化のためにどんな代案があるか?このような様々な質問に対して明確な答えをするのは難しい。北朝鮮は依然として内膜が分からない謎である。

様々な資料を総合すると、制裁にもかかわらず、北朝鮮のお米の価格、ガソリン価格、その他の生活必需品などの価格は概ね安定しており、為替レートも変動性が大きいが、安定的な傾向を維持するものと観測される。制裁に対する北朝鮮の耐久力をどのように説明することができるだろうか?

一般的に制裁が効力を持つためには、制裁を加える側と制裁を受ける側でいろんな条件が満たされなければならない。国連の対北朝鮮制裁を見ると、制裁成否の鍵は中国が握っている。中国は表面的には対北朝鮮制裁に同調しながらも、北朝鮮の息の根を維持する線で対北朝鮮制裁の水位を調節している。中国は国境貿易、原油など戦略物資の取引、北朝鮮労働者の滞在許可、中国人の観光許可などの緩急を調節することで北朝鮮経済の命綱を握っている。昨年以降、金正恩委員長の頻繁な訪中と習近平主席の訪朝によって北朝鮮の経済がある程度回っているようにみえる。

トランプ大統領は中国を対北朝鮮制裁に参加させるために頭を悩ませている。米中間の貿易戦争を含む戦略的な競争が行われている中、米国は関税を対中圧迫手段として使用している。特に米国は北朝鮮と取引をした鴻祥グループ、ZTEなど中国企業を制裁するセカンダリボイコットを実施している。しかし、米国がセカンダリボイコットを拡大することも容易ではない。中国の立場から見ると、中朝交易の規模が少ないため、セカンダリボイコットによって中国が被るを経済的被害は微々たるものだ。また、中国は米国の経済的圧迫に対して関税及び非関税障壁、投資規制などで対抗している。さらに、中国との経済関係が必要な欧州とアジア諸国は、米国のセカンダリボイコットに対して否定的だ。

そして制裁対象である北朝鮮の特殊性が制裁効果を弱化させている。北朝鮮の低い対外依存度、耐乏生活(緊縮)に慣れている住民、制裁回避のための迂回的な方策などが制裁の効果を半減させるとみえる。

統計を見ると、北朝鮮の地下資源・繊維などに対する輸出規制により、対中貿易の赤字が増加して外貨不足が深刻であることが分かる。ところが、北朝鮮は外貨不足をどのように耐えているのだろうか?北朝鮮は不足している外貨を埋めるために様々な方法を動員しているとみられる。これまで蓄積しておいた外貨があると推定され、人材輸出や観光を通じて外貨を確保するために熱を上げている。国連制裁によると、今年の年末に海外派遣人材の滞在が終了されるが、北朝鮮は短期訪問や就職など迂回的な方法を通じて制裁を避けようとするはずだ。金正恩委員長が 元山(ウォンサン)の葛麻(カルマ)海岸観光地区、陽徳郡(ヤンドクグン)の温泉観光地区の建設に熱心な理由も、観光収入に期待をかけているからだ。特に中国人の北朝鮮観光は不足している外貨を埋める重要な手段となっている。また、北朝鮮はハッキング、密貿易など不法手法によって外貨獲得を図っていると推定される。

金正恩委員長はハノイ会談で制裁緩和を勝ち取るのに失敗したあと、「新しい道」を言及する一方、制裁が続くことに備えて自力更生を強調している。北朝鮮の新たな道は中朝およびロ朝関係の強化、核ミサイル開発能力の維持、新しいミサイルシステムの開発などを意味するものと見られる。そして、北朝鮮は自力更生とともに科学技術人材の育成、国産化などにより活路を模索しようとしている。

北朝鮮は外貨確保のための代案を模索し、自力更生を前面に出すことでそれなりに耐えられるかもしれない。しかし、北朝鮮の悩みは制裁が続く限り、「一気に跳躍」という遠大な目標を達成するのは難しいということだ。さらに来年は党創建75周年であり、国家経済発展5カ年戦略を完了する年だ。金正恩委員長が住民に約束してきた国家発展と人民の暮らしの質の向上が現実的に難しくなったのだ。

これまで市場化を通じて生存戦略を体験してきた住民は、当局にいかなる恩恵を期待するよりも、自分たちが活動できる空間を確保し、当局の規制と統制が緩和されることを希望しているといえる。市場化勢力の立場から見ると、経済的成果なしに耐乏と動員だけを強調する自力更生は不満にならざるを得ない。自力更生に対する住民の不満が市場活動の拡大に現れるか、当局への不信として表出されるか、中間幹部に対する不満として現れるかは分からないことだ。今冬、外貨・原油・生活必需品の不足、住民の苦情、市場化及び貿易に深く関わった幹部層の不満などを眺める北朝鮮の指導層の悩みが深まるだろう。

 
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