科学技術情報通信部など政府省庁が人工知能(AI)人材育成のために積極的に乗り出しているが、肝心のAI研究開発を率いる最高級のAI人材は、米国、中国どころか、日本の半分程度に過ぎないことが分かった。
3日、カナダのAI研究所「エレメントAI(Element AI)」が発刊した「グローバルAI人材報告書2019」によると、韓国が保有している最高級のAI人材は405人(1.8%)で、全世界10位に過ぎないと調査された。
AI研究開発をリードする世界最高級AI人材は計2万2400人で、このうち半分の1万295人(46%)を米国が保有していることが分かった。続いて中国が2525人(11.3%)で米国とはかなりの差で2位を占めており、その後を英国(1475人・6.6%)、ドイツ(935人・4.2%)、カナダ(815人・3.6%)、日本(805人・3.6%)などが追っていた。全体の最高級AI人材の72%は上位5カ国の出身だった。また、最高級AI人材の77%は学界、23%は企業に従事していると調査された。
これまで韓国が米国・中国・日本に比べてAI人材が不足していると漠然と知られてきたが、具体的な数値でその差が確認されたのは今回が初めてだ。
エレメントAIは、マイクロソフト、インテル、テンセントなど、世界的なIT企業からの投資を受けているAI研究所だ。ディープラーニング(人工ニューラルネットワーク)の分野の権威者である モントリオール大学教授のヨシュア・ベンジオ(Yoshua Bengio)氏が共同創設者として参加した。先日、新韓銀行ともAI開発のための協約を結んでいる。
エレメントAIは、最高級のAI人材に関する情報を得るために全世界21の主要科学カンファレンス出版物を全数検査した。最高級AI人材とは、コンピュータサイエンス、物理学、統計学、脳科学などAI開発のための基盤技術を直接研究する修士・博士以上級の人材だ。
今回の調査によると、韓国のAI分野は優秀女性人材不足と脳科学・物理学分野の人材不足にも悩まされていると診断した。性別が確認された345人の最高級AI人材のうち、女性は40人(12%)に過ぎなかった。上位17カ国のうち、日本と並んで最下位レベルだった。
韓国の最高級AI人材は、主にコンピュータサイエンス(27%)、コンピュータ工学(26%)、数学及び統計学(19%)に集中しており、脳科学や物理学に従士する人材は一人もいなかった。女性AI人材育成の不足と脳科学に対する支援不足が昨今の状況を招いたというのがエレメントAI側の分析だ。
ただ、エレメントAIは韓国がカナダ、オーストラリア、シンガポールと共にAI産業発展の可能性が大きい国であると診断した。
エレメントAIの最高経営責任者(CEO )、ジャン・フランソワ・ガニェ(JF Gagne)氏は、「韓国はAIの技術開発において目覚ましい発展を遂げている。このような発展は、政府がAIの研究および開発に2022年まで20億ドルを投資することを決定するなど、多くの支援があったため可能だった」と明らかにした。ガニェCEOの分析によると、政府が目標を達成するには、毎年350人の最高級AI人材を確保しなければならない。
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