[パク・スヨンのコラム] 新プラットフォーム戦争時代

[写真・執筆=パク・スヨン西江(ソガン)大学教授 ]


第1次産業革命時代を経て大量生産を基盤とする企業が誕生した。これらの企業は原材料をもとに製品を生産し、これを消費者に供給する、いわゆる生産者として、需要者に必要な製品を供給する一方的な形態の事業を行ってきた。製造基盤企業がほとんどで電子製品、鉄鋼、造船、食品・飲料事業など、我が国の根幹をなす企業形態だ。生産者のブランドが消費者信頼の基盤となり、この価値が非常に重要な事業形態といえる。

2000年代に入ってワールド・ワイド・ウェブ(www)とインターネットブラウザが登場し、インターネットの大衆化時代が始まった。その時からプラットフォーム基盤のビジネス産業がスタートした。プラットフォームは人たちが汽車駅を利用するように、需要と供給が会う形にした生態系を形成する事業の場として、新たな産業形態として急浮上した。グーグルの例を考えてみると、多くの人々はインターネット上で情報を得るためにグーグルの検索エンジンプラットフォームを活用する。自然に集まった人たちのおかげで、グーグルは広告など付加的な収益を創出することになる。フェイスブックも類似の概念の事業モデルだ。人々は知人と疎通するためにフェイスブックを使用することになる。このように集まった人たちによってフェイスブックは莫大な利益を創出している。フェイスブックは初期サービスになかった「いいね」ボタンを2010年に導入した。このボタンだけで1日900万ドルという驚くべき売上を上げているものと推定される。

初期のインターネット基盤プラットフォーム事業は、スマートフォンが普及され、モバイルという急激な変化を経験した。生産者と消費者をつなぎ、いわゆる双方向プラットフォーム基盤事業形態が現れた。プラットフォームをベースにサービスを供給できる人は誰でも生産者となり、これを必要とする消費者たちがプラットフォームを通じてつながってビジネスが起きる形だ。エアビーアンドビー(Airbnb)やウーバー(Uber)のような形のビジネスが代表的だ。エアビーアンドビーの場合は、貸主が使用しない期間の間、家をしばらく貸す見返りとして金銭的な利益を得ることができる。これを利用する人は一般的に支出しなければならない宿泊費用よりも安い価格や良い条件で滞在する場所を見つけることができる。エアビーアンドビーはこれまで商品とされなかった「家」というものから価値を創出するという概念に基づいて事業を拡張した。「空き部屋」を金儲けの手段に変えてくれたのだ。エアビーアンドビーは旅行はもちろん、不動産の概念まで振りながら成長している。

消費者と生産者を一つのプラットフォームに参加させ、利益を創出するプラットフォーム事業は、従来の生産者と消費者の境界を崩して消費者が生産者になったりもする「プロシューマー(prosumer)」という新造語を生むほど、数多くのビジネス形態を作った。産業の境界を崩す新しいプラットフォーム基盤ビジネスも多く作られた。このような産業の時価総額は、製造基盤の伝統企業に比べてはるかに急成長している。設立してから10年しか経っていないエアビーアンドビーと現代自動車の時価総額が変わらないくらいだ。

2015年以降、プラットフォーム基盤事業に新しい現象が現れているのが目立つ。既存のプラットフォーム事業は、そのプラットフォームを提供して所有している企業が、信頼を基盤に新たなプラットフォーム事業者の参入の敷居を高めて利益を独占したモデルである反面、新しいモデルは、ブロックチェーン技術を基盤に脱中央化したプラットフォームを提供する。参加者がプラットフォームの所有者を通さずに、ブロックチェーン技術に対する信頼を基盤に直接取引をしながら利益を共有して、参加者たちの努力による補償が支払われる形だ。

一例として、「スティ―ミット(steemit)」は従来のソーシャルメディアフラットフォームとは違って、ユーザーがコンテンツを共有する時、使用者たちの好感度を測定して貢献度に応じた適切な補償を支給する。このサービスは、フェイスブック、ツイッターなど巨大なソーシャルメディア企業が使用者たちの書き込みを利用して金を稼ぐだけで、使用者たちには直接的な利益がないということと対比される。プラットフォーム提供者だけに利益を与え、彼らに利益になる方向で市場をリードしていくのではなく、コンテンツを作って評価する参加者たちが主体となってお互いの利益を共有しながら、市場をリードするという戦略を持っている。韓国だけで昨年6月まで1万人未満だった使用者が8ヵ月間で30倍以上増えた。

「スロックイット(Slock.it)」は、ブロックチェインと事物インターネット(IoT)の結合という標語をかけた新しいプラットフォームサービスだ。ブロックチェーン基盤、スマートドアロックをもとにホームシェアリングのプラットフォームを提供する。一見すると、エアビーアンドビーと似たようなプラットフォーム事業のようにみえるが、このサービスは需要者が供給者にエアビーアンドビーというプラットフォームの所有者を介さず、ダイレクトでスマートドアロックに支払い、アクセス権限を得て使用する分散型共有プラットフォームである。これらは仲介者なしに空き部屋や、自転車、あるいは自動車をシェアする真の共有経済プラットフォームを提供するという事業目標を持っている。このような取引では、信頼問題が非常に重要であるが、これをブロックチェーンが解決することで、需要者と供給者間の直接取引ビジネスが可能だ。

ブロックチェーン技術は韓国の産業に脱中央プラットフォーム事業の新しい姿を作って行っている。提供者の仲介手数料がなくなって、参加者たちに補償が与えられる真のシェアリングエコノミー(共有経済)プラットフォーム時代の始まりを知らせている。ある人は、第2のインターネット時代が開かれていると言ったりもする。韓国は初期のインターネット時代のプラットフォーム戦争でサイワールド(Cyworld)というソーシャルメディアフラットフォーム事業をフェイスブックより先に始めたが、インターネット実名制をはじめとするインターネット関連規制に足を引っ張られた。国内プラットフォーム事業者に対する逆差別が繰り返される間、グローバル絶対強者であるグーグルやフェイスブックの国内市場占有率は垂直に上昇した。その間、全国民をミニホームページ中毒に落としたサイワールドは瞬く間に没落してしまった。

今やブロックチェーン技術を基盤とする新たなプラットフォーム戦争の時代が開かれている。インターネット時代が開かれ、初期のプラットフォーム市場が維持されず歴史の裏に消えてしまった経験をした我々が、新たに開かれるブロックチェーン基盤の新プラットフォームの戦争では、過去の過ちを繰り返さない新しい時代の強者になることを切に期待する。
 
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