[キム・ジンホのコラム] 北朝鮮の挑発と韓国と中国の互恵協力

[写真=キム・ジンホ檀国大学教授(国際政治)]


私たちの視点からみると、北朝鮮の核問題は韓米同盟と韓日協力、そして国際社会の対北朝鮮制裁に対する協力と緊密に結ばれている。そして、私たちは北朝鮮の国境線と最も長く接している中国を国際社会の対北朝鮮制裁の参加国であり、韓半島問題の主要国であると思う。

ところで、中国首都の北京と最も近い二つの国家、韓国と北朝鮮を見つめる中国指導部の心情は複雑であるだろう。中国は阿片戦争から日清戦争まで相次ぐ外国勢力との戦争で敗れた結果、中国南方の拠点都市と主要物流中心地を開港と租借した。以後、中国内の覇権を巡って、国内の複数の勢力と争った末、最終の内戦で国民党を勝って統一された社会主義国家を樹立するのに成功したが、同時に国際社会の冷戦という環境に直面した。冷戦時期の中国指導部の対外封鎖と国内経済の立ち後れは毛沢東死亡後、鄧小平の改革・開放政策の経済性と、今日の習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」に変貌している。

すなわち、中国は社会主義体制の収容と民族主義国家建設で中ソ冷戦対立に「ある地区で様々な体制が共存することができ、資本主義はある一国の独占物ではなく、世界の平和と共同繁栄」を主張しながら市場経済体制を融合させた社会主義国家に発展していくのだ。このような側面で「現在、中国の国際的競争国はどの国だろうか」を考えてみると、韓国と北朝鮮に対する中国の立場も理解できる。中国にとってロシアは協力国家ではあるが牽制対象であり、米国は競争の対象ではあるが協力を通じて発展を図らなければならない対象だ。

共産党の民主政治体制の特徴を持つ中国政府は韓国と北朝鮮、両国とも良い関係を形成して中国の国内安定化と安定した国際環境を造成しようと努力している。また、中国政府はこのような環境を造成すると、中国が安定的で持続可能な発展を図ることができると主張する。

このような面で中国共産党は特殊な体制の社会主義国家である北朝鮮とは社会体制と周辺の安定という目的で、韓国とは市場経済体制の共有と経済・文化的協力を通じた歴史的な絆の回復と米中関係を考慮した国益を考えながら対外関係を維持しているのだ。

ところで、北朝鮮と韓国に対する中国の立場には、社会主義国家を建設してから冷戦時期の米国と対立していた保守派的事故が依然残っている。それで中国が米国の影響力からもう少し安全な国際環境を作らなければならないという潜在意識が大韓半島戦略に投射されたりもする。サード(THAAD・高高度ミサイル防衛システム)関連の事件もこれと類似しているとみられる。中国は韓国戦争で、そしてベトナム戦争で米国と直・間接的な戦争を経験し、現在、米国が中国を封鎖しようとするインドー太平洋戦略で、自国に有利な国際環境を造成するために隣接国及び国際的外交を展開していると思えばいい。

中国は中ソ関係で社会主義思想と戦略的協力はあるが、1960年代にあった対立と米中国交の背景である米国の対旧ソ連政策で現れた協力と牽制を並行しているとみられる。こうした時点で北朝鮮がロシアとその協力のひもを強化しようとするのは、北朝鮮が米国の同盟や協力勢力との競争で生存するため、自国を支援するしかない中国とロシアに対する選択的外交を展開している現象だ。北朝鮮と中国の関係と、北朝鮮とロシアの関係というのは、北朝鮮が米国の同盟勢力と力の競争を繰り広げる過程で、北朝鮮が協力国家の力を活用し自国の生存競争力を高めようとする戦略だ。このような北朝鮮の対中国・対ロシア戦略とは、まさに北朝鮮が韓国や米国との競争で自分の立地を強化して防御網を極大化しようとする戦略であるだろう。

最近、中国が米中協力も重視し、サードと関連した韓国に対する制裁を緩和しながら北朝鮮に特使を派遣して北朝鮮と中国の関係に力を入れているのも、北朝鮮の対外協力構造で中国の割合よりロシアの比重が高まるということを防止しようとする北朝鮮に対する影響力強化に目的があるといえる。そして、北朝鮮に対する重油供給を遮断しなければならないという米国を含む国際社会の圧力に中国が簡単にその決断を下しにくいのは、米中の競争関係だけでなく、半島北側の北朝鮮・中国・ロシアの三角協力と競争構図が主な原因になるものとみられる。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が13日、中国を国賓訪問する。中国はすでに文在寅大統領との韓中首脳会談に先立ち、韓国と北朝鮮に対する外交政策と中国の北東アジア外交戦略、そして米中強国の関係における国際関係を総合的に分析しておいたはずだ。

北朝鮮は最近、改良された火星-15号ミサイルを発射して自国の敵対勢力である米国と制裁参加国家に向けて"このミサイル発射で核開発が一段落した"と声明を発表し、自身の意向を示した。 つまり、北朝鮮が会談に出ることもありえるという話でも解釈できる。もう北朝鮮との会談に向けて韓国と中国も協力が重要な課題となったのだ。そして韓国と中国、ロシアの協力への支持が必要な時期になった。米中露関係でロシアの立地は中国より強いといえるが、これはロシアが米国と競争しながら協力する空間が中国より広範囲にわたるからだ。米国の選挙にロシアの介入の問題だけを見ても米国がロシアの影響力を知ることができるだろう。つまり、韓国、中国、ロシア、北朝鮮が核問題関連会議に参加の意思が高まれば、米国、そして日本を交渉に引き入れることが課題として残ることになり、これに各国家はそろばんを打ちながら今後の方向を決めるものと見られる。

中国は交渉の目的に至るため、進行過程で相手の心に希望を吹き込むムードづくり作業をやってるけど、まだ中国の反応は出ていない。韓国政府は今回の韓中首脳会談で森を見なければならず、木だけを見てはいけないが、重要なのは韓半島安保中心の北朝鮮核問題の解決方法に焦点を合わせながら同時に韓中関係の公正な関係を主張すべきことだ。現時点で韓国と中国ができることは北東アジア周辺国の意思を統一させることだ。ここで米国と日本も重要な部分ということを絶対忘れてはならない。韓中首脳会談で米中関係と韓日関係の議題や韓国と中国、ロシア、北朝鮮の関係がお互いに有機的にうまく調和できるように交渉を行われなければならないのが両国の指導者の責務であろう。韓中両国は北東アジアの平和と安定のために北朝鮮核問題解決を必ず中心課題にしなければならない。
 
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