[キム・サンチョルのコラム] 灰色のサイ(Grey Rhino) VS 灰色の象(Grey Elephant)

[写真=キム・サンチョル前KOTRA北京・上海館長]


9月3日から5日まで中国の福建省南部の廈門ではBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)首脳会議が開催されている。先進国G7の対抗馬として浮上したBRICSは、新興国の代表的国家で構成されたもう一つのG5だ。多少の浮き沈みがあるが、これら5ヵ国は2000年以降、経済力が急速に拡大し、成長潜在力が非常に高い国々という共通の特徴を持っている。これらの浮上が21世紀に入って世界経済秩序の議論の場をG7からG20に移しておいたりもした。これら国家間にも見えない競争心理が作動しているが、膨大な資金力を持つ中国が求心的リーダーの役割をしているのは自他が認める雰囲気だ。今年10月18日に開催される中国共産党全国大会で決定される習近平第2期指導部の発足を控えて開催されらる今回のBRICS会議は、中国のリーダーシップを対外にアピールする機会にしようとするのが中国の意図だ。しかし、開幕初日から北朝鮮の6回目の核実験で、行事のニュース価値はもちろん、中国の面子をかなり傷つけた。先を急いでいる中国に好材料だけじゃない、悪材料も随所に大量に敷かれているという反証でもある。

今年BRICS首脳会議を控え、中国とインドの間に一触即発の危機があった。国境地域で両国の軍隊が2ヵ月ほど軍事的な対立して武力衝突直前まで行った。辛うじて先月(8月)28日、首脳会談5日を控えてうやむやに終結されたが、いつでも再燃する可能性が大きい。紛争の口実は100年前に英国が中国とインドの国境線を拙速に画定した「マクマホンライン」に設定したことから始まっている。ヒマラヤ山脈を境に、中国とインドの国境線はおよそ3500Kmに達する。 そして、この両大国の間に挟まったチベットは中国が占領するようになり、一方、ネパールとブータンはインドの影響力が大きな影響を及ぼすが、中国を引き入れて過度に片方に傾いていないという努力が続いている。これらをめぐっても中国とインド間の水面下の利権争いが熾烈に展開されているのだ。 国交を樹立してもう67年もなったが、様々な紛争が絶えず、実際に数回の局地戦では軍事力で優位にある中国の勝利に終わったりもした。

インドより30年あまり先立ち、改革・開放を推進した中国が、経済力の面でもインドを圧倒している。両国が表向きにはいがみ合っても、経済的格差拡大によって、インド市場は中国商品であふれている。最近は中国内需市場の後退と中国のIT大手企業がインドに大規模な投資をしながら、インドの有力企業が中国資金に売られていく事例が発生したりもした。しかし、2014年、インドにナレンドラ・モディ首相が政権を獲得してから中国に対する警戒感を緩めずにおり、中国式成長モデルをベンチマークした「世界の工場(Make in India)」の跳躍を明らかにした。インドは国境紛争に加えて中国との「貿易戦争」を辞さないほど、93つの中国商品に対する反ダンピング関税を課すなど、極度の敏感な反応を見せている。中国を越えて克服しなければ、インド経済の未来がないということを知っているような振る舞いだ。実際、モディ首相の就任後インドの経済成長率は7%台で、中国の6%台を超えており、外国人投資誘致も急増している。

◇中国、インドとの紛争を辛うじて解決したが、随所に葛藤山積

よく中国の浮上について龍という動物でたとえたりもする。しかし最近、中国経済に赤信号が灯され始め、潜在的危険が随所に潜んでいる中国経済の状況を「灰色サイ(Grey Rhino)」に例えたりもする。影の金融、不動産バブル、国有企業の不良化や地方政府の負債、不法融資・資金調達など、目の前に見えるが、極端な危機水準に達する以前にはまともに注目されていない危険を置いて言っている言葉だ。サイの特徴でもあるが、このような危険要素がいつ中国経済に衝突しかも知れない状況が続いている。計画経済を標榜している中国政府が抱えている最大の悩みであり、時限爆弾でありながら危機経営能力が俎上に上がっている格好だ。習近平第2期の発足を控え、対外的な情勢も中国にそんなに甘くない。米国との新型大国関係を作っていこうという中国の内心も日増しに縺れている。米国の戦線を乱す必要があるというレベルで北朝鮮の核問題を引きずっていく形だ。もし、この戦線が整理される場合、米国の矢がすぐ南シナ海の人工島に移すことためだ。これには日本をはじめ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、オーストラリアなど多くの国家たちの利害が複雑に絡み合っている。

インドをよく動物に比喩する際、象を主に連想する。眠れる象で卑下し、インド経済は永遠に目覚めることができないという否定的な評価が大勢だったが、モディという不世出のリーダーが出現することで、経済が復活の羽ばたきをしている。どこに跳ねるか分からない中国のサイとは対照的に「灰色の象(Grey Elephant)」が安定的行進を始めたのだ。製造業大国を旗印に掲げたことをはじめ、ITの潜在力を引き上げるための「スタートアップインディア(Start-up India)」プログラムも本格稼動中だ。米国シリコンバレーの創業を主導しているインド系との連結はもちろん、世界的IT関連企業のインドへの進出が可視的に増えている。現在、13億の人口だが、今後3年内に中国を越えるものと予想されたりもする。このようなインドをめぐり米国と中国は互いに自分たちの肩に引き込むために力を入れている。インド政府は徹底した利害打算をもとに、これらの接近を検討する。しかし、国境、貿易紛争にギクシャクした中国よりは比較的アメリカ側にもっと近い。米国、日本とは仮想軍事訓練まで一緒に出来るほどだ。一方、インドは中国の一帶一路プロジェクトがインド周辺をじろじろしていることに対しても非常に不便な心境だ。国境を接している大きい国同士は基本的に親しくなれない。
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